草月アートセンターのジャーナル、パンフレット、リーフレット
草月アートセンターのジャーナル、パンフレット、リーフレットがまとまった数入荷したしました。
1958年に勅使河原宏をディレクターとして開設され、1969年に幕を閉じた草月アートセンターは当時の若い芸術家の自発的な発表と交流の場でした。現代音楽家ジョン・ケージの伝説的な初来日公演をはじめ、現代音楽、映画、アニメーション、パフォーミングアーツ、ジャズの先鋭的な公演が開催され1960年代の日本における前衛的な芸術の発信地として機能していたのです。イベントは開催されてからも雑誌SACジャーナルやパンフレットに批評や参加者のテキストが掲載されることで議論の深まりと広がりを持っていきました。それらに加えてリーフレットも当時の若いデザイナーが手がけており、今日でも魅力のある印刷物として残っています。
ここに掲載しているもの以外にも多数ありますので、ぜひ日本の古本屋のパージナのページから「草月アートセンター」で検索してみてください。
SACジャーナル No.27 特集 : 草月コンテンポラリー・シリーズ 17 JOHN CAGE DAVID TUDOR
1962年にジョン・ケージが初来日し公演を行った際の衝撃をつたえる一冊です。ジョン・ケージ、東野芳明、武満徹、黛敏郎、高橋悠治、ハインツ=クラウス・メッガーのテキストを掲載。デザインは志村和信。21,600円。
SACジャーナル No.30 3人のアニメーション アニメーション特集
「ジャン・テインゲリー アニメーション映画を語る」「東京印象記 カルロス・マルチオリ」「誌上アニメーション 粟津潔 『トントン』」など興味深い内容。久里洋二、柳原良平、真鍋博の作品の紹介など。1963年、12,960円。
草月コンテンポラリーシリーズ 作曲家集団例会スケジュール <草月アートセンター・リーフレット>
1960年3月から12月まで草月アートセンターで行われた最初の現代音楽のコンサートシリーズ、「草月コンテンポラリーシリーズ」の年間スケジュールと簡単な演目。参加した林光、武満徹、松平頼暁、芥川也寸志、岩城宏之、諸井誠、黛敏郎、三善晃、間宮芳生のプロフィールと安部公房、瀧口修造らのコメントが掲載されています。デザインは杉浦康平。5,400円。
6人を乗せた馬車
文 : 光吉夏弥、西脇順三郎、植草甚一ほか ; 表紙デザイン : 細谷巌 ; レイアウト : 志村和信 1964年、4,320円
今日の芸術=1 マース・カニングハム・ダンス・カンパニイ<草月アートセンター・リーフレット>
公演告知用のリーフレットで、演目、紹介文に加えて秋山邦晴、岡本太郎、黛敏郎のコメントも掲載されています。デザインは粟津潔。1964年、5,400円。
草月シネマテーク会報 6冊一括
飯村隆彦、石上三登志らが文章を寄せています。1969〜1970年。6,480円。
「海外超現實主義作品展」の資料
1937年に開催された、日本でシュルレアリスムの動向を紹介した展覧会「海外超現實主義作品展」の資料2点を入荷いたしました。
海外超現實主義作品展を企画したのは滝口修造、山中散生。滝口修造は美術評論家・詩人。日本の前衛美術をリードした人物として、またシュルレアリスムの紹介で今現在もよく知られています。山中散生は詩人(でNHK職員)。ポール・エリュアール、アンドレ・ブルトン、トリスタン・ツァらと交流があり、美術雑誌でもダダやシュルレアリスムの紹介を書いていました。
シュルレアリスムの作品は雑誌で部分的に少ないタイムラグで紹介されており、本展以前にも1933年の「巴里・東京新興美術同盟」でのエルンストらの紹介もありました。本展は絵画の図版写真と素描、コラージュ、版画など計350点をこえる資料からなる展覧会で、銀座の日本サロンではじまり、京都、大阪、名古屋、金沢を巡回しています。
出品はマックス・エルンスト、ハンス・アルプ、ハンス・ベルメール、ジョアン・ミロ、イヴ・タンギー、ポール・ナッシュ、サルバドール・ダリ、ポール・エリュアール、パブロ・ピカソ、ウィリアム・ヘイター、アルベルト・ジャコメッティ、など。
展覧会の図録というより解説冊子である海外超現實主義作品展
序文、滝口修造、山中散生。解説は滝口修造。春鳥會より1937年刊行。簡単な出品目録と作家の言葉として制作についてのテキストの翻訳が掲載されています。税込86,400円。
みづゑ臨時増刊 1937年5月 第388号 海外超現實主義作品集
実質的にはこちらのほうが現在でいう図録と呼べるものになっています。カラー図版1点と白黒図版125点、出品作家の簡単なプロフィール、年譜、海外の文献目録を掲載。編 : 滝口修造、山中散生。ただし掲載図版が出品作品と同じかどうかは判りません。春鳥會より1937年刊行。税込27,000円
前衛美術家・池田龍雄と中村宏の挿絵児童書ほか
児童書を大量に入荷したのですが、その中に前衛美術家として活躍されている画家が挿絵を描いたものもありました。そのいくつかをご紹介いたします。
1950年代は社会運動に応じた前衛芸術運動・ルポルタージュ絵画を制作、その後も前衛芸術家としての活動を続けている、池田龍雄が挿絵を描いた児童書、けむりの家族です<母と子の図書室 34-3>。宇宙船とのろしで交信する家族と出会った少年の物語。池田龍雄は本書以外にも1960年代以降いくつか児童書の挿絵をてがけています。 著者は杉山径一。1970年、太平出版社より刊行。初版、 税込10,800円。
池田龍雄と同じくルポルタージュ絵画の制作で知られ、その後も一つ目のセーラー服少女の絵画等、独自の絵画を描き続けている画家、中村宏の挿絵児童書、ライオンがならんだ <理論社・童話プレゼント>です。一匹のライオンが仲間を増やしていく物語で、ライオンを含む動物たちが可愛らしく描かれています。著者は佐野美津男。理論社より1966年刊行。 初版、税込16,200円。
こちらも中村宏挿絵の、オオカミがきた<理論社・おはなしBOOK>。やはりおどろおどろしいムードの方が中村宏さんのタッチに合っている気がしますね。 著者は三田村信行 。1976年、理論社刊。初版、21,600円。
前衛美術家ではないですが前衛絵本作家とは呼べるでしょう、長新太 海の中のきりん <講談社の創作童話 4>。アフリカからニューヨークに運ばれる途中で海に落ちたキリンが海の生き物たちにアフリカの動物を教えるために海藻で海の動物を作りはじめ…というお話。 文・絵ともに長新太ということもあり絵も展開も長新太節全開の一冊です。1971年、講談社刊行。初版、税込21,600円
こちらは挿絵のみの長新太、カラーブックス729 花ことばファンタジー <創作/子どもの文学>。著者は筒井敬介。1973年、偕成社刊行。初版、 税込10,800円。