前衛美術家・池田龍雄と中村宏の挿絵児童書ほか
児童書を大量に入荷したのですが、その中に前衛美術家として活躍されている画家が挿絵を描いたものもありました。そのいくつかをご紹介いたします。
1950年代は社会運動に応じた前衛芸術運動・ルポルタージュ絵画を制作、その後も前衛芸術家としての活動を続けている、池田龍雄が挿絵を描いた児童書、けむりの家族です<母と子の図書室 34-3>。宇宙船とのろしで交信する家族と出会った少年の物語。池田龍雄は本書以外にも1960年代以降いくつか児童書の挿絵をてがけています。 著者は杉山径一。1970年、太平出版社より刊行。初版、 税込10,800円。
池田龍雄と同じくルポルタージュ絵画の制作で知られ、その後も一つ目のセーラー服少女の絵画等、独自の絵画を描き続けている画家、中村宏の挿絵児童書、ライオンがならんだ <理論社・童話プレゼント>です。一匹のライオンが仲間を増やしていく物語で、ライオンを含む動物たちが可愛らしく描かれています。著者は佐野美津男。理論社より1966年刊行。 初版、税込16,200円。
こちらも中村宏挿絵の、オオカミがきた<理論社・おはなしBOOK>。やはりおどろおどろしいムードの方が中村宏さんのタッチに合っている気がしますね。 著者は三田村信行 。1976年、理論社刊。初版、21,600円。
前衛美術家ではないですが前衛絵本作家とは呼べるでしょう、長新太 海の中のきりん <講談社の創作童話 4>。アフリカからニューヨークに運ばれる途中で海に落ちたキリンが海の生き物たちにアフリカの動物を教えるために海藻で海の動物を作りはじめ…というお話。 文・絵ともに長新太ということもあり絵も展開も長新太節全開の一冊です。1971年、講談社刊行。初版、税込21,600円
こちらは挿絵のみの長新太、カラーブックス729 花ことばファンタジー <創作/子どもの文学>。著者は筒井敬介。1973年、偕成社刊行。初版、 税込10,800円。